「私は,障がい者施設で生活しており,

 

その費用の一部を母が出してくれていましたが,

 

その母が亡くなりました。

 

兄弟姉妹で母を相続して,

 

その費用の中から引き続き生活費を捻出できると思っていたら,

 

公正証書遺言が見つかり,

 

財産を全て第三者に渡すことになっていました。

 

母がこのような遺言を書くとは思えません。

 

無効を主張したいです」

 

 

 

公正証書は公証人という人が作りますが、

 

作成する際に、

 

本人確認や内容確認を慎重に行います。

 

ですから、公正証書は、

 

一般的に信用できるとされます。

 

したがって、公正証書の内容について、

 

勘違い(錯誤)があったと言って、

 

あとから無効だというのは、

 

基本的に難しいといえます。

 

 

 

しかし、例外的に、

 

公証人が作成した公正証書の遺言で、

 

勘違い(錯誤)のため、

 

無効となったケースもあります。

 

 

 

冒頭のケースと似た事例ですが、

 

まず公正証書遺言を作成した

 

母親が全盲の方でした。

 

そして、その母親は、

 

公正証書遺言を作成する約1か月前に、

 

知人と話して

 

こんな遺言にしたいという骨子案

 

を作成していました。

 

その骨子には、

 

障がい者施設で生活する子供のために財産を使いたい

 

が、余った財産は第三者の福祉法人に寄付したい

 

というものでした。

 

しかし、公正証書遺言には、

 

母親の財産は第三者の福祉法人に与えて、

 

「付言事項」という欄に、

 

その福祉法人に対して、

 

障がい者施設で生活する子供の面倒をみてほしい

 

という依頼が記載されていました

 

この「付言事項」は、

 

遺言を書いた方が相続人たちに語りかけるもので、

 

よく使われるものですが、

 

実は法的な拘束力がありません

 

ですから、この遺言は、

 

母親の意思に沿っていなかったわけです。

 

 

 

この公正証書を作成した際、

 

公証人はこの付言事項の意味を

 

詳細に説明しなかったようです。

 

母親は付言事項に書いてあるからよいと思い

 

この内容で署名押印したのでした。

 

母親の死後、

 

公正証書遺言と一緒にこの骨子案が見つかったため、

 

公正証書遺言は、

 

母親の真意で作成されたものではないとして

 

無効になりました。

 

 

 

遺言の作成は

 

事前準備が大変重要です。

 

公正証書の場合は公証人がいますが、

 

作成者の真意の確認は、

 

公証人ではなく、

 

それ以前にきちんと確認しておく必要があります。

 

 

 

弁護士は、

 

遺言内容の確認から公証人との調整まで、

 

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投稿者: 野澤・中野法律事務所