亡き親の口座を一人で払戻請求したら銀行に拒否された
「親が亡くなり,
兄弟3人での遺産分割協議もまとまらないため,
銀行預金の3分の1を先に引き出そうと思って,
銀行に問い合わせたら,
兄弟全員の同意書が必要だといって,
払戻しに応じてくれません。
兄弟間では協力を得られない状況なので,
とても困っています。」
兄弟3人だけが相続人であれば,
法律が定める各人の相続分は3分の1ずつです。
裁判所に行くと,
遺産が銀行預金だけの場合には,
簡単に分割できるので,
遺産分割調停さえ受け付けてくれません。
だからといって,
銀行に行って,一人で分割請求をすると,
拒否されてしまう。
このようなケースが頻繁に起こっていました。
これに対し,近時,
一律の拒否の対応は銀行の不法行為になる
との裁判例が出てきました。
銀行としては,
払い戻した後に遺言が出てきたり,
遺産分割がされたりすると権利関係が異なってきます。
そうして紛争に巻き込まれないよう,
兄弟全員の同意書をほしいといってくるのです。
簡単に調査できることを要求するのはOKですが,
それがないと払戻に応じられないと言って,
払い戻しを困難にすれば権利侵害になる。
それが銀行に不法行為を認める理由です。
ですから,冒頭のケースでも,
「遺言書がないですか」
「遺産分割はされていませんか」
という程度の質問があり,
答える程度で,
銀行は払い戻しに応じなくてはなりません。
それ以上に抵抗して,
「兄弟全員の同意書がないとダメ」
とすれば不法行為になると考えられます。
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